親の施設探し、最初にやるべき5つのこと
「親の介護が大変になってきた。そろそろ施設を考えたほうがいいのかな……」
そう思っても、何から手をつければいいのか分からず、悩んでいませんか?
親の施設を探そうと思っても、施設にはさまざまな種類があり、費用もサービス内容も異なります。調べれば調べるほど、どこを選べばいいのか分からなくなってしまうこともあるでしょう。
しかし、最初から施設を決める必要はありません。
大切なのは、今の状況を整理し、必要な支援を知ることです。
この記事では、現役看護師の視点から、親の施設探しで最初にやるべき5つのステップを順番に解説します。
「何から始めればいいの?」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
1.まずは「今の生活と困りごと」を整理する
施設探しを始める前に、まずは親の現在の生活状況を書き出してみましょう。
例えば、次のようなことです。
- 食事の準備や買い物は自分でできているか
- 入浴や着替え、トイレに介助が必要か
- 転倒の危険や、物忘れによる困りごとはないか
- 薬の管理や通院は一人でできているか
- 一人暮らしの場合、緊急時に対応できる人はいるか
あわせて、家族がどこまで支援できるのかも整理しておきましょう。
「週末なら様子を見に行けるけれど、平日は仕事がある」「遠方に住んでいるため、頻繁には通えない」など、家族の事情も大切な判断材料です。
すべてを家族だけで抱え込む必要はありません。
今、何に困っていて、どのような支援があれば生活を続けられるのか。それを明確にすることが、施設探しの第一歩です。
2.介護保険の要介護認定を申請する
介護サービスの利用を考えているなら、介護保険の要介護認定について確認しましょう。
要介護認定とは、介護がどの程度必要なのかを市区町村が審査し、要支援1・2、要介護1〜5などの区分を判定する仕組みです。認定結果によって、利用できる介護サービスや支給限度額などが変わります。
申請窓口は、親が住んでいる市区町村の介護保険担当窓口などです。地域包括支援センターで相談できる場合もあります。
申請後は、認定調査や主治医意見書などをもとに審査が行われます。
なお、認定を受けていない場合でも、利用できる高齢者向け住宅などはあります。施設によって入居条件は異なるため、認定がないからといって、施設探しを諦める必要はありません。
まだ申請していない方は、早めに相談しておくと安心です。
3.地域包括支援センターに相談する
「介護保険のことも、施設の種類もよく分からない」
そんなときに頼りになるのが、地域包括支援センターです。
地域包括支援センターは、高齢者の生活や介護について幅広く相談できる窓口です。保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門職が連携し、必要な支援につなげてくれます。
相談できる内容は、例えば次のとおりです。
- 介護保険の申請方法
- 自宅で利用できる介護サービス
- 施設への入居を検討する際の相談
- 一人暮らしの親の見守りや生活支援
施設への入居を考えていても、状況によっては訪問介護やデイサービスなどを利用することで、住み慣れた自宅での生活を続けられる可能性があります。
施設に入ることだけを前提にせず、どのような選択肢があるのかを一緒に考えてもらいましょう。
相談先が分からない場合は、親が住んでいる地域の地域包括支援センターを探してみてください。
4.見学する候補を3〜5か所に絞る
現在の生活状況や必要な支援が整理できたら、施設探しを始めましょう。
高齢者向けの施設や住まいには、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、さまざまな種類があります。
それぞれ入居条件や費用、提供されるサービスが異なります。
例えば、介護の必要性が高い方に向いている施設もあれば、比較的自立した生活を送れる方を対象とした住まいもあります。
最初からすべての施設を調べようとすると、情報が多すぎて迷ってしまいがちです。
まずは、次のポイントを整理して、候補を3〜5か所程度に絞ってみましょう。
- 費用: 入居時の費用や毎月の利用料を無理なく支払えるか
- 立地: 家族が面会や通院の付き添いをしやすい場所か
- 介護体制: 必要な介護や医療的な支援に対応できるか
- 生活環境: 食事や入浴、レクリエーションなどが本人に合っているか
特に費用については、月額料金だけでなく、食費や日用品代、医療費、介護保険の自己負担分なども確認することが大切です。
本人の年金や預貯金、家族が負担できる金額も踏まえて検討しましょう。
5.実際に見学し、必要に応じて体験入居も検討する
候補が絞れたら、実際に施設を見学してみましょう。
パンフレットやホームページだけでは、施設の雰囲気やスタッフの対応、入居者の普段の様子までは分かりません。
見学するときは、次のような点を確認してみてください。
- 共有スペースや居室が清潔に保たれているか
- スタッフが入居者にどのように接しているか
- 食事の内容や、食事介助が必要な場合の対応
- 夜間の職員配置や緊急時の対応
- 体調が悪くなったときの医療機関との連携
また、施設によっては体験入居ができる場合もあります。実際の生活をイメージしやすくなるため、可能であれば検討してみましょう。
見学時には、気になることを遠慮せずに質問して大丈夫です。
そして、できる限り本人の希望も聞いてみてください。
「自宅から離れたくない」「できるだけ自由に過ごしたい」「家族が通いやすい場所がいい」など、本人にとって大切なことは人それぞれです。
すべての希望を叶えるのが難しい場合でも、何を優先したいのかを一緒に考えることが大切です。
まとめ|焦らず、一つずつ進めていこう
親の施設探しで最初にやるべきことは、次の5つです。
- 今の生活と困りごとを整理する
- 介護保険の要介護認定を申請する
- 地域包括支援センターに相談する
- 見学する候補を3〜5か所に絞る
- 実際に見学し、体験入居も検討する
親の介護が必要になると、「早く何とかしなければ」と焦ってしまうこともあるでしょう。
しかし、施設選びは、単に介護をしてもらえる場所を探すことではありません。親がこれからどのように暮らしていくのかを考える、大切な機会でもあります。
施設には、それぞれ特徴があります。大切なのは、評判の良い施設を選ぶことだけではなく、本人の状態や希望、家族の事情に合った場所を見つけることです。
一人で悩まず、地域包括支援センターなどの専門職にも相談しながら、できることから一つずつ進めていきましょう。
