農業への希望と現実とのギャップ
会社で働くのがツライ。自然が好きだから農業で生活していきたい。
「農業をしたい」という人がよく口にするのが
- 会社の人間関係がツライ
- 自然が好き
- 農業でゆるい生活がしたい
都会の人間関係から逃れて自然の中でのんびりとした生活をしたい、そんな幻想を抱いて農業の世界に飛び込もうとしている方に、今日は就農や田舎暮らしの現実について少しだけお話します。
農業の大変さや田舎暮らしの現実も理解した上で、それでもなお農業をやりたいと考える人が、農業に向いていると思います。
もし夫が、単に会社を辞めたいだけだったり、農業への憧れだけで就農したいって言ってたら私は賛成しなかったな。
人間関係に疲れた
人間関係に疲れたから農業したい?
農業をする場合、大抵は田舎です。
田舎の人間関係って、会社の人間関係よりある意味面倒くさいですよ。
周りの農家さんたちとの助け合いで生活するのが基本になります。
会社では「行きたくない飲み会は行かない」っていうのもアリですが、田舎の付き合いでは月1の町内会に参加したり、定期的に行われる「夏祭り」や「収穫祭」「忘年会」等の地域行事には準備の手伝いをしたり、役割がなくとも顔出しはしなければなりません。
他にも消防団の役割に当たったり、選挙の時期になるとその田舎の地区によって手伝いに行かなければなりません。
また何年かに1回、神社当番なんてのもあり、当番に当たった年は神社のお供えを用意したり、お祈りを手伝ったりしなければなりません。
会社なら辞めれば済むかもしてませんが、実際に移住して就農するとなれば逃げることはできません。
自然が好き
自然が好きで自然の中で暮らしたい?
自然って厳しいですよ。ちょうどいい気温でポカポカ晴れててキレイな景色の中ばかり思い浮かべていませんか?
私だって、条件が良い自然は大好きです。
北海道に移住して、自然の中で暮らすのが怖いと感じることも多々あります。
- 野生動物が怖い
- 悪天候
- 虫が多い
野生動物
北海道で生活するようになってからは、夜に出歩けなくなりました。
自転車に乗るのも怖くなりました。
家の周りに、普通に野生動物がウロウロしているからです。
リスやうさぎみたいな可愛い動物ならいいのですが、クマだって当たり前のように目撃されています。
家の玄関の前に蛇が何匹もニョロニョロしてて朝からびっくり!なんてことがザラにあります。
悪天候
トマトはビニールハウスでの栽培ですが、風が強い日はとても怖いです。
ビニールが剥がれて飛んでいくこともあり、結構危険です。
特に春には毎年強風の日が必ずやってきて、その風の強さといったら歩くのもやっとの台風の時の警報級の強さです。
冬はホワイトアウトになると、通勤の行き帰りはヒヤヒヤです。
でも、田舎だから職場までは車が欠かせない。
昨年は移住して初めての雪中通勤でしたが、何度かホワイトアウトの中を運転しなければならず、ペーパードライバーの私にとっては辛かった……
虫が多い
都会にも虫はいますが、やっぱり量と大きさがなんか違う!
夏は網戸にしててもゴマ粒くらいのちっちゃい虫が網の目をすり抜けて大量に入ってくるから、窓も開けられません。
クスサンっていう大きい蛾が、去年も大発生していましたが、こういう大きい蛾が玄関の扉にいっぱいくっついてたり、卵もたくさんへばりついてたりしてメチャクチャ気持ち悪いです。
真っ暗な外にたまたま出なければならないときに懐中電灯をつけて歩こうものなら、その明かり目掛けて虫が自分に群がってくるので要注意です。
農業でゆるい暮らしをしたい
会社で働くより農業はラクだと考えているなら、農業はやめた方がいいです。
農業は、自然の中で自分の好きな時間に景色を見ながらのんびり働くというようなものではないです。
農業に休みはない
もし一人で就農した場合、たとえ体調が悪くても、圃場に行かなくてはなりません。
水やりだけは最低やらなければならなかったり、ハウスのビニールを開けたりして温度調節しなければ1日でダメになってしまいます。
「体調が悪いから今日は仕事休みます」ということができないです。
ゆるい農業では生活できない
休みの日もなくて、朝から晩まで働いたとしても、農業している人の年収は会社員の方が上です。
やり方次第で農業で稼ぐことができますが、それは決して「ゆるい生活」ではないと思います。
自分自身で販路を拡大する努力をしたり、稼ぐための工夫が欠かせないからです。
北海道では冬は2カ月ほど農業は休みですが、多くの農家さんは農業だけでは生活できないため、冬の間は除雪等のアルバイトをしてつないでいるのが現状です。
さいごに
就農して独立すれば自分の思うように自由な生活することも可能です。
農業は楽しいです。
でも、就農する前に、自分がどんな農業をしたいのか、どこで生活したいのか、自己資金や収入についてもしっかり検討することが必要です。
農業の良い面ばかりをみて安易に始めると、結局続けられずに数年で辞めてしまうことになります。
楽しく農業で生活していくためにも、厳しさも大変さも知って就農してほしいです。