夫婦で挑む農業生活!私の経験から見たメリットとデメリット
農業は夫婦でやるものっていう考え方があるみたいだけど、実際はどうなの?
就農に関する相談に行ったときに「結婚していますか」「結婚の予定がありますか」などと聞かれたことはありませんか?
これは行政側が、農業を経営するうえで「夫婦で協力してやる」という形を重視しているからだと思います。
今は独身の新規就農者を受け入れる傾向にありますが、まだ夫婦で就農することを条件にして受け入れている地域もあります。
まだまだ「夫婦で農業をする」というモデルが、安定した運営に繋がりやすいという考え方が強いです。
じゃあやっぱり農業は夫婦でやった方が上手くいくってこと?
そんな疑問にお答えするために、今日は「夫婦で農業をすること」のリアルな一面についてお話ししたいと思います。
メリットやデメリットは、夫婦間の仲の良さに大きく左右されますが、いくら仲が良い夫婦でも喧嘩になってしまうポイントがいくつかあります。
夫婦で農業するメリットとデメリットを挙げながら、夫婦で農業を成功させるためのポイントを解説していきます。
- 夫婦で農業するメリット
- 夫婦で農業するデメリット
- 夫婦で農業を成功させるポイント
- 現実的な夫婦農業モデル
夫婦で農業するメリット
夫婦で農業をするメリットって一体何だろう?
共通の目標を持てる
農業は夫婦が共通の目標を持ち、一緒に挑戦できる特別な場です。
例えば、地域に根差した農園経営や、地産地消をテーマにしたカフェの運営など、「自分たちの価値観を形にする」ライフスタイルを選択できるのは農業の大きな魅力です。
近年の農業は、単なる作物栽培にとどまらず、観光農園や農産加工品の販売、農家民宿など、多様な形態で展開されています。
このような多様化により、農業は「新しい事業」として魅力を増しています。夫婦のスキルや興味を活かせる点も人気の理由の一つです
同じ目標を共有することで、夫婦間の絆が深まりやすく、達成感を共有できると言われています。
突然の体調不良の時パートナーがいると安心
病気や体調不良などがあっても、もう一人のパートナーがカバーしてくれるのは心強いものです。
どちらかが休んでも、もう一人が最低限の作業を進めることで、「自分が休むとすべてが止まる」というプレッシャーが減少します。
夫がインフルエンザで1週間休んだ際、妻が水やりと簡単な収穫作業を代行。急な販路対応は地域の助けを借りつつ、夫が回復するまで大きなトラブルなく乗り切れた。
腰痛を抱える夫をサポートするため、妻が繁忙期に友人を雇用。夫婦で普段から健康を優先した生活習慣を整えており、回復後もスムーズに仕事に復帰できた。
家族経営ならではの柔軟さ
自営業であることから、日々のスケジュールを柔軟に調整できるのもメリットです。
時間の使い方に自由度が増すので、一緒に過ごす時間が増え、家族との時間を優先できるようになります。
また、自然のリズムに合わせた生活は、ストレスの少ない働き方としても注目されています
夫婦で農業するデメリット
「夫婦で就農はやめておいた方がいい」という新規就農者も結構います。
その理由で一番多いのが、夫婦仲が悪くなるから です。
一日中ずっと一緒にいるから?
うーん…それよりも生育が上手くいかなくてイライラしたり、相手の作業ペースが遅かったり、自分の思ったように作業してくれないことで喧嘩することが多いかも。
同じハウス内で作業していてもハウスが広すぎて、お互いに顔を合わせることは少ないよね。
夫婦仲が悪くなる
よく聞くのは、お互いの作業ペースや価値観の違いです。
作業ペースの違い
一緒に農作業してて、よくケンカになるのは私の作業が遅いこと。
特に誘引なんかは紐の結び方がなかなか覚えられなくて、上手く結べなくて、時間がかかる…
「作業が遅い!」「やり方が違う!」と何度も言われ、夫の機嫌とともに私の機嫌も悪くなるというのはお決まりのパターンです。
私なりには一生懸命やってるつもりなのに…
これが何度も続くと、正直やる気が削がれます。
夫婦の性格や働き方の違い
夫婦の性格や働き方の違いも大きな要因です。
例えば、片方が几帳面で計画的に作業を進めるタイプ、一方でもう片方が柔軟にやりながら進めるタイプだと、お互いのペースやアプローチの違いがぶつかり合うことがあります。
こうした違いが「正しいやり方」を巡る議論に発展し、最終的に衝突を招く原因になることもあります。
私の本業は看護師だから、休みの日に農作業をするときはどこか家庭菜園をしているような感覚があるのかも。私は楽しく農業したい!
こっちは家庭菜園をしているんじゃない。農業で生計を立てることを目指してるんだから、そんなにゆっくり楽しんで作業しないでほしい。
思い通りにいかない農業の厳しさ
農業は計画通りに進むことが少なく、収穫量が予想より少なかったり、作物が病気になったりと、常に予期しない問題に直面します。
そんな時、夫婦の間で意見の食い違いや責任の擦り付け合いが生まれることがあります。
例えば、作物がうまく育たなかった原因をお互いに責任転嫁することになり、信頼関係が崩れてしまうことも。
農業の厳しさに対する理解不足やストレスが溜まりすぎると、関係性にも悪影響を与えがちです。
経済面でのプレッシャー
農業を始める際には初期投資が必要で、しばらく収益が出ないことがほとんどです。
こうした経済的なプレッシャーが、夫婦間のストレスを増加させることがあります。
生活費をどうするか、補助金の使い道についての意見の違いや、収入が安定しないことに対する不安が、日々の会話や行動に影響を与えることが多いです。
経済面での不安が溜まると、喧嘩が増えてしまうこともあります。
夫婦で農業を成功させるポイント
役割分担を明確にする
農作業での役割分担
作業の得意・不得意を話し合い、夫婦それぞれが「この作業は自分の責任」と思えるように分担すると、無駄なストレスが減ります。
たとえば、一人が作物の手入れや収穫を担当し、もう一人が出荷準備や経理を担当するなど、明確にしておくとスムーズです。
家事も協力して行う
また、分担すべきものは農作業だけではありません。
農作業が終わった後に「今日のご飯は何?」なんて聞いてませんか?
圃場から帰った後、旦那がシャワー浴びてビール飲んでいるのに、なぜ私だけ急いで晩ご飯作らなきゃならないの?って思う時あるよ?
農作業で疲れているのはお互い様です。
農業で成功している方をみると、夫婦で農作業も家事も上手く分担できているところが多いです。
お互いのやり方を尊重する
就農する際、夫婦がそれぞれ違う農園の親方の元で研修を受けて独立している場合、それぞれ違う農業技術を学んできています。
「私が学んだやり方はこうだった!」
と夫婦で揉めて喧嘩が絶えない、というのはよく聞く話です。
作業スタイルや効率の違いがあっても、「自分のやり方だけが正しい」とは思わないことが大切です。
相手のやり方を尊重しながら、互いにアドバイスを受け入れる柔軟さを持つと、衝突が少なくなります。
こまめにコミュニケーションをとる
農業には毎日の天候や作業状況に応じて調整が必要な場面が多いので、こまめなコミュニケーションが重要です。
朝や作業の合間に「今日やること」を確認するミーティングを取り入れると、お互いの状況を把握しやすくなります。
毎朝農作業を始める前に、作戦会議をしてるっていうご夫婦もいたよ
家族経営協定を結ぶ
私も最近知ったのですが、家族経営協定というものがあります。
簡単にいうと、家族で行う農業経営について、家族でしっかり話し合って書面に残しておくというものです。
「家族経営協定」は、家族経営の農業において、特に経営に関わる家族メンバーの役割や責任、権限などを明確に定める協定のことです。この協定は、家族経営における経営権の譲渡や経営に対する合意を文書化することで、誤解やトラブルを避け、円滑な経営を支援することを目的としています。
- 経営の役割分担:誰がどの業務を担当するのか
- 利益配分:得られた利益の分配方法
- 経営権の継承:農業経営の継承に関する取り決め、引き継ぎのタイミングなど
- 意思決定方法:経営に関する重要な決定をどのように行うか
最初にそれぞれの役割分担や休憩方法、休日、お金のこと等を決めておくと、揉めることが少なくなるし、作業効率も良くなりますね。
現実的な夫婦農業モデル
近年「夫婦で農業を始める」といっても、実際には夫が農業を主導し、妻がパートタイムや外部の仕事で家計を支えるケースが増えています。
これは特に新規就農者や移住者に見られる傾向で、以下の理由が背景にあります。
- 経済的安定を求めて
- 夫婦間の役割分担の合理性
- 妻の独自性やキャリアの維持
新規就農や移住者の間では、妻が看護師という人がとても多いです。
「夫婦で農業を始める」といっても、実際の形態は多様化しており、必ずしも二人がフルタイムで農業に従事するとは限りません。
むしろ、妻が外部で働くことで家計を支えつつ、夫が農業を主導するモデルが多いのが現状です。
これには経済的安定を確保し、役割分担を効率化する目的があり、これからの農業スタイルをより柔軟で現実的なものにしています。
さいごに
たとえ夫婦で農業をしなくとも、新規就農する方にとって協力してくれるパートナーがいれば、励みにもなるし、安心感にもつながります。
仲良し夫婦でなければ、そもそも会社辞めて移住して新規就農するなんて無理です。
夫婦それぞれがどうしたら心地よく過ごせるか」を夫婦一緒に考えていけたらいいですね!